カッパのぺけちゃん物語~さらば地球!はじめての特使に行って来ます!~
作者:PEKETV
遠い昔、はるかかなたの銀河系で….
河童共和国には混乱が渦巻いていた。
辺境の星との交易でのキュウリ課税の是非で意見が割れたのだ。
貪欲な尻小玉連合は恐るべき宇宙戦艦の包囲で事態解決を図り小さな惑星カパーへの航路を封鎖してしまった。
この非常事態に共和国議会は果てしない討議をただ繰り返すばかり。
共和国最高議長カパパティーンは紛争解決のために平和と正義の守護者「カッパのぺけちゃん」を特使として秘密裏に派遣することにしたのだ….
「かぱぁ~!お皿の水がサースティーだかぱ~。」
そんなことを言いながら砂漠を歩く緑の男。
そう、彼がカッパのぺけちゃんです。
「ここには池や沼やコンビニは無いのだろうかぱ・・・」
果てしなく続く砂漠。
もう3日も歩き続けています。
ご存知の通りカッパという生き物は3日間水に入らないと死んでしまうと言われていますから、ぺけちゃんの命は風前の灯でした。
「かぱ・・・かぱ・・・」
干物のように萎びたぺけちゃんの脳裏には、こんな任務を与えくさりやがったカパパティーンの顔が浮かんでいました。
「ぺけちゃんや!今惑星カパーは大変なことになってるかぱ!地球みたいなところでのうのうと暮らしてないで紛争を解決してくるかぱ!
尻小玉連合の艦隊に乗り込んでなんとかしてくるかぱー!(エコー)カパー・・・カパー・・・カパー・・・」
「うぅぅ~そんなこと言ったって特使なんてやったことないしカパーがどこにあるかもわからないし一人でこんな遠くにうぐうぐうぐ」
ぺけちゃんの目からは涙が溢れ出してきました。
それもそのはず、ぺけちゃんはこれまでお母さんの膝の上から動いたことがなかったのです。
甘えん坊で通っていたぺけちゃんを自立させるためにあえて厳しい任務を与えたとカパパティーンは後に語っています。
「うぐうぐぺろぺろ」
涙は止まりませんが、貴重な水分をムダにしてはいけないという冷静な判断もできるぺけちゃんは、
泣きながら涙をひたすら舐めていました。
「もう限界だかぱ・・・何か水分を・・・」
そう言いながらぺけちゃんはカバンの中に水分を含んだものがないか探しました。
しかし出てきたのはカピカピになったフランスパンだけでした。
「わぁい!フランスパンかぱー!」
意識が曖昧になってきたぺけちゃんはフランスパンでテンションのスイッチが入りました。
「がっついてやるううう」
その瞬間!黒い影がぺけちゃんの目の前を横切ったかと思うと、手に持っていたはずのフランスパンが無くなっていました。
慌ててぺけちゃんはフランスパンを探しました。
するとぺけちゃんの後ろに小さな、太ったヘビのようなものが立っていて、手にフランスパンを持っているではありませんか!
「お、お、お、お、おでのフランスパンをがえぜえええええ」
キャラクターまで見失ったぺけちゃんはそのヘビのようなものに向かって襲いかかりました。
「ま、まってくれよう!」
ヘビのようなものは言いました。
「待たぬ!!」
「水と交換しようぜ!」
「わぁいありがとうかぱー」
2人はすっかり意気投合しました。
「へえ~それで惑星カパーへの道を塞いでいる尻小玉連合の艦隊に向かっているんだね」
「そうなんだかぱ。ところで君は不思議な生き物だけどもしかして」
「そうだよ!ツチノコだよ!」
「うわぁ!かっぱり!初めてみたかぱー!すごい変なフォルムだね!」
「カッパに言われたくないよー」
「かぱぱぱぱ」
「ツチチチチ」
2人はまるで昔からの友人のように笑いました。
「ところでぺけちゃんはどうしてこんなところにいるの?」
ツチノコの村岡は言いました。
「宇宙船がどこかに無いか探してるかぱ」
ぺけちゃんはこともなげに言いました。
「えええ!?宇宙船持ってないの!」
「かぱ」
「もう・・・開いた口が塞がらないよ!」
「かぱぱぱぱ」
「ツチチチチ」
2人はまるで昔からの友人のように笑いました。
「お母さんに連絡は取れないの?」
「スマホの電池がなくなっちゃったかぱ」
「じゃあ代わりに連絡してあげるね!」
「かりぱとう!」
「お母さんのLINEのIDはわかる?」
「hahakapa1010かぱ」
「OK!じゃあ喉が渇いてる感じのスタンプ送っておくね!」
「グミもほしいかぱ」
「うい!」
村岡がスタンプを送った瞬間、2人の目の前にイカヅチが落ちたかと思うと
地面に突き刺さったようになったイカヅチに絡みつくように竜巻が訪れ、
大地は裂け、海は割れ、すべてのMT車はエンストを起こし、目の前にウォーターサーバーとグミが現れました。
2人はとてもうれしそうに言いました。
「「さすがLINEスタンプ!!」」
こうして危機を脱出したぺけちゃんは、もう2,3日旅を続けたあと限界を感じて家に帰りましたとさ。
尻小玉連合にもキュウリのLINEスタンプを送ったところ、みんな笑顔になり、今までどうして争っていたのかも忘れ
上質な糠床を探してどこかに行ってしまいました。
カパパティーンは言いました。
「甘えん坊で通っていたぺけちゃんを自立させるためにあえて厳しい任務を与えた」
さすがカパパティーン!!
・・・めでたしめでたし。
カッパのぺけちゃん物語がボイスドラマになりました!