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Rain line

作者:鈴乃あみ

 

朝はあんなに天気が良かったというのに、あたしは玄関口で空を見上げて絶望した。
 
濡れたタイルにローファーの靴底が滑って、屋根の外に飛び出す。
パタタっ、と革の表面に弾ける雨粒の感触にすぐ足を引っ込めた。
こうなってしまうと、突っ切っていく勇気は失せるのも当たり前だろう。
 

突然にやってきた嵐のような雨は、校舎の入り口に川を作るかのように乱暴に降り注いでた。
部活を終えて帰ろうとしたあたしの足を止めるのには、十分過ぎる程に。
 

「……あぁー、早く帰りたかったのにぃ……」
 
雨で冷えた空気を受け止めながら、逸る脚をすりあわせた。
タイツが静電気でまとわりつく感覚に、顔をしかめる。
 
夕方から始まる新番組の予約を忘れたあたしは、その雨を恨む。
早く止んで欲しい。止んでくれなくてもいいから、弱まってくれるだけでもいい。
 
天気予報を確認しなかったあたしが悪いし、傘を持ってこなかったあたしも悪いんだけど……今は雨しか恨めなかった。
 

「そもそもどうして今日天気予報観なかったんだっけ……」
 
普段ならあたしは用心しすぎなほどに天気を気にする。
今朝の出来事に思いを巡らすと、あたしはさらに眉を寄せた。
 

今朝は妹と喧嘩をしたんだった。
今晩は両親が出かけるから、どっちが掃除をするとか料理をするとかそんな感じで。
 
冷静になればくだらない喧嘩だ……雨に冷やされた頭で朝のドタバタを思い出すが、今更後悔は手遅れな事も、雨に冷やされた頭ではすぐに理解できた。
 
一学年下で美術部の妹は、一学年上でバレー部のあたしとはなかなか校内ですれ違わない。
美術部のある場所を見上げてみると、カーテンは引かれていて、明かりが付いているかどうかも分からない。部活がやってるのかやってないのかも分からず、まして家事の為に先に帰ったのか、なんてわかるはずもなかった。
 

あたしはポケットからスマホを取り出して、妹の携帯番号をコールしてみる。
8回コールをした所で出ないことを悟って切った。
聞こえてないのか、まだ怒っているから無視なのかすらわからない。
せめて気づいているのかさえ分かればなぁ……と思ったところで、目についたのは緑色に吹き出しのシンプルなアイコン。
 
メッセージアプリ、LINEだ。
 
アイコンをタップするとすぐに、ふわりと画面いっぱいに緑色。
そしてすぐに友達のプリクラの補正されすぎた顔や、親のペットの写真……妹のアカウントは、自分で描いたのであろう女の子のイラストだった。
 
「今日は、ごめんね……っと」
 
とりあえず謝るしかない。短く謝罪の言葉を、妹のトーク画面に打ち込む。ヒュッ、と吹き出しが飛び出した。
 

待つ。せめて既読を待つ。
しばらく……おおよそ3分ぐらい、そこで固まっていた。でも、既読はつかなかった。
飽きてしまったので手持ち無沙汰にタイムラインに画面を切り替えると、そこには1分前の妹の投稿。
 
『部に出なかったので家で課題の下描き中~』
 
つまり既読を付けずスルーってわけですか……。がっくりする。
恐らく言葉が短すぎて、通知だけ見てそのままなのだろう。
 
でも、ここでトークを開かないと読めない程の長い文章を思いつくわけもない。
と、なれば後は最終手段。
 
文字を入力するウィンドゥのすぐ隣。顔のアイコンをタップして、スワイプ。
選んだのは妹お気に入りのアーティストの似顔絵で。
 
sorryという文字で頭を下げているイラストが、トーク画面にヒュッ、と現れた。
LINEスタンプだ。
 
これなら通知には表示されないし、トークを開かざるを得ない。
タイムラインを更新している以上、無視もそうそうできまいだろう……確信はないけど。
 

少し待つと、すぐに既読はついた。
しかしそこから返事はない。
 
ダメか……そう思ってあたしはスマホのホームボタンに手をかけた、瞬間。
ピロリン、と通知音。
 

『お姉ちゃんが掃除だからね』
と一言。
 
あたしは再度スタンプでごめんねと了解を伝え、ついでにお願いポーズのスタンプを送る。
『7時からの番組予約しておいてくれると嬉しい、雨で帰れそうにないの』
 

既読はすぐ付く。
 
でも返事はこない。
やっぱりダメかな……もう諦めかけた。さらば初回特集……。
ため息をついた後、すぐにピロリン、と通知。
 
スタンプのようだ。トーク画面には、女の子がむくれてただ一言、「いやです」。
 

その画面をみて一瞬固まった後、あたしはもうため息しか出なかった。
雨はまだまだ止みそうになく、強く地面を叩いている。
 
返事する気もなくなり、あたしは再度虚しくまたそのスタンプを眺めていた。
途端、追加されるスタンプ。
 

さっきとは違う女の子のイラストが「仕方ないなぁ」と呟いている。
そのイラストには見覚えがあった。トーク画面のすぐそこに表示されているイラスト。
 
妹の絵だ。
 

「……予約ぐらい自分でやりなよ」
 

呆然と画面を眺めていると、急に雨音が代わる。
顔を上げると、傘が差し出され、その傘にバタバタバタ……と、校舎の屋根から落ちる、滝のような雨を受け止めていた。
 
その柄を握るのは、妹の左腕。右腕にはスマホ。画面は、あたしの画面と正反対の同じ画面。
 

「……あとそのスタンプ買ってもらうからね」
 
押し付けられる傘。
その傘の色は、アイコンと同じ綺麗な緑色だった。



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