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私の本当の気持ち

作者:はまかわ ゆう

 
〝ちょっと時間を置こう〞
 

深夜二時。彼からのメールが届いた。それはたった一文の、絵文字も顔文字も付いていないとても簡素なもの。
外の暗がりのせいか、それともこの一人暮らしのあまりにも静か過ぎる生活のせいか、私はその一文だけのメッセージにとても悲しくなった。
……いや、そんなことが理由なんかじゃない。
今からほんの少し前の時間、私は彼氏と喧嘩になった。今考えてみても、それは何が原因で勃発したものなのかを特定することはできないでいる。それくらいとても些細な出来事だということなのだと思う。それくらい、私たちの関係って脆いものだったのだろうか……。
私はその〝ちょっと時間を置こう〞というメッセージを眺めながら、電気も点いていない真っ暗な部屋で、一人静かに涙を流した。そして、ちょっとずつ、ちょっとずつ、彼とのトークルームでのやり取りを眺めている。
喧嘩は初めてのことじゃない。そのLINEのメッセージを見返してみても、ある時はとても幸せそうで、ある時はとても悲しげで、そんな感情の起伏がそこにはとても分かりやすく描かれていた。それらのメッセージの合間には適度にスタンプが送られ、私たちは文字ではない意思表示を何度もしていた。そしてそれに対する受け答えも。
 

喧嘩別れをしてそのまま家に戻ってきて、私は真っ暗な部屋でただ無機質に光る携帯外面の明かりだけを頼りに、この先の彼との関係を考えていた。
〝ちょっと時間を置こう〞
ただその文字だけが、私の目に焼き付いていく。感情が一切伴っていない、とても簡略化されたメッセージ。
〝ごめん〞
私はその文字を打って、携帯を眺めた。あと一回送信ボタンを押せばいいだけなのに、どうしてもそこまで指が伸びない。見栄か、ただの強がりか、とにかく私はどうしてもそのあと一歩を踏み出せずにに、ただその画面を眺めているだけだった。
 

喧嘩の原因はなんだったのだろうか……。
私たちはいつものように時間を合わせて会い、いつものように他愛のない話をした。そうしていつの間にか言い合いになり、そのままお互いの家に帰ってしまった。
明日は、仕事だ。週に一度、彼が休みの日曜日しか会えないのに、私は随分と彼との時間を無駄にしてしまったように思う。こんな心持ちのままいるのは辛いけれど、仕事を初めてしまえば、幾分気持ちもらくになるだろうか。それならすぐにでも仕事へ行ってしまいたいと思うけれど、やっぱり彼とのわだかまりは心を随分と沈めていて、それはどうしたって仕事に影響しそうなものだった。
「はあ……」
溜め息が漏れる。あまりにも不意に出たその溜め息に、私自身は更に落ち込んでしまう。
文字はいつだって直接的で、文面だけのそのメッセージにはいつだって感情が伴わない。携帯の画面にいるのは無表情の彼、そして今私が送ろうとしているその〝ごめん〞というメッセージにも、私の感情は表現されていないと思う。心からそう思っているのに、どうしてもそこには無表情な私がいた。
電話をしようか。私の頭の中にはもちろんそういう選択肢だってあったはずなのに、それはあまりにも_気が重くて、彼の携帯番号が表示されたその画面を見るだけで、通話ボタンはどうしても押せそうになかった。
 

もう一度彼とのトークルームを開く。
〝ちょっと時間を置こう〞
そのメッセージは私の心に重くのしかかり、どうしようもなく不安で、どうしようもなく悲しくさせる。そしてまた大きな溜め息が漏れた。
スタンプの画面を開いた。今の私の心情にそぐわないような明るい表情のそのスタンプが幾分気持ちを軽くしてくれて、私は一つ、「〝会いたい〞という文字が書かれた、女の子が目を潤ませている」スタンプを送った。彼からしてみたら、ふざけているように思われるかもしれない。
だけど、今の私にはそれが精一杯の表現だった。どんな文字よりも、どんな言葉よりも、今私はただそれだけを彼に伝えたかった。そして、それが何より私の本当の気持ちだった。
スタンプを送ると鼓動は早く打ち、私は彼からの返信をただ切に願ってばかりでいる。それからどれくらいの時間が経っただろうか、それは一分だったかもしれないし、一時間だったのかもしれない。それくらい私の意図しない時間が流れ、外は相変わらず暗闇に包まれている。
携帯のバイブレーションがテーブルを揺らしながら電話の着信があることを伝え、画面には彼の名前が表示されていた。その電話はどんな内容を伴っているだろう、私の鼓動はまた早くなり、そしてその携帯を手に取った。彼がなんと言ってきても、私はさっき送ったそのただ一つの
スタンプの心情を言葉で伝えよう。
そのスタンプが彼の心を動かしたことに違いはないのだ。そしてきっと、私のその素直な気持ちは伝わったのだと思う。
「大丈夫。大丈夫。」
私は自分にそう言い聞かせてから、通話ボタンを押して彼からの電話を取った。
「……もしもし」
夜の闇の中に、私の言葉は溶けていった。彼へ届くようにと願いながら。



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