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何の為に作るのか

作者:月雪 華也

 

「ラインのスタンプだって?」
 向かいに座る友人が経済誌から目を離すことなく聞き返してきた。
「いや、さ。ほら、そこに書いてあるだろ」
 経済誌の表紙を指さしながら言う。半ばおっくうそうな表情をしながら友人が経済誌を閉じ、表紙をみた。
 しばらくの静寂が流れる。ほとんど客のいない喫茶店特有の雰囲気が漂った。
「ああ、スタンプ長者か」
「おう、なかなか面白そうじゃねえか」
 目の前に置かれたグラスに刺さるストローを指ではじきながら言った。
「なに言ってんだ。もう出遅れだよ。結構前の話だろ、今になって売れるかよ」
 さしたる関心も無いようで、友人は再び経済誌を読み始める。
「淡泊な反応だなあ。アメリカンドリームだぜ」
 グラスの中に浮かぶ氷を無意味にかき混ぜながら、身を乗り出して言ったのだが、
「なにがアメリカンドリームだ。失敗ずるのが落ちだぜ。やめとけやめとけ」
 手をひらりひらりと振って相手にもしようとしない友人。
「それにな、お前、そもそも作れるのか?」
「うっ……」
 こればかりと友人は経済誌から顔を上げるとにやりと笑って続けた。
「わかっているのか、オリジナルのキャラを作って、それを書いて、文字をつけて売らなきゃならないんだぞ」
「うっ……、いや、やってやるぞ。作ってやるから見ておけよ」
 グラスに残っていた飲み物を一気に飲み下すと、代金を机において立ち上がった。
「お、おい、まじかよ」
 友人つられて立ち上がる。
「とりあえず、俺の家に来いよ。さっそく作るぜ」
「おまえなあ……」
 

「さて……ああは言ったものの、どうやって作ればいいんだ」
 起動されたパソコン。うぃんと軽い機械音を響かせながら、真っ白な画面を写し続けている。
 握られたペンは全く動いていない。幸いなことにペンタブは友人の使い古した物があったので、譲り受けることになった。
「そんなのこっちに聞かれても。だから、無理だって」
 だらりとソファにもたれ掛かりながら友人が言った。
「おーい、冷房かけるからな」
 俺の返事など待ちもせずに冷房の電源を入れる友人。
 蒸し暑くよどんだ空気を吹き飛ばすように、心地の良い冷たい風が吹き始める。
「あっ、動物系とかはどうだ」
「いいじゃないか、人気もあるしな」
 ふわふわとつかみ所がないように頭の中を浮かぶアイデアをかき集めるようにしてペンタブを走らせた。なんということはなしに動物が形作られていく。
「よしっ、出来たぞ」
 ちょっとばかりデフォルメされた小動物たち。
「おい、どうだ。なかなか良い出来だろう」
 友人の方に画面を向ける。
「ん……、だめだな」
「なっ」
 いともあっさりと切り捨てる友人に対しむっとして俺は返した。
「何がだめなんだよ」
「まず、キャラに個性がない。それから、台詞が使いにくい」
 言われてみると、友人の指摘はもっともで、
「なるほどな、ちょっと直してみるか」
 手直すべく、再びペンタブへと向かい直った。
「なあ、どうして、スタンプを作ろうと思ったんだ? 金のためか」
 ずっと天井のシミを数えていた友人が唐突に口火を切った。
「ああ、そんなことか。まあな、確かにアメリカンドリームで一山当てたいってのもあるが、それ以上によ、誰かが自分の作ったスタンプを使って会話するんだって考えたら、なんか嬉しいじゃねえか」
 言い終わるなり、友人は吹き出すように笑った。
「な、笑うなよ」
「いやあ、お前が柄にもないことを言うからだ」
「別にいいじゃねえかよ」
「良いと思うぜ。だから、ほら、早く作れよ」
 

「かんぱーいっ」
 並々と注がれたビールを仰ぐようにして飲む。心地の良い冷たさがのどを通った。
「ふーっ」
 今日一日の会社での疲れを吐き出すようにため息をついた。
 結局、スタンプは無事完成し販売され、思った以上の数が売れたのだが、微妙なところとして実感がわかないでいた。
「この人、ラインのスタンプ作ってるでー」
「えっ」
 女上司にてを捕まれると大きく上へと引っ張られた。
「あの、もしかして酔ってるんじゃないですか」
「何よ、酔ってちゃ悪いって言うの?」
「いやあ、そんなことはないですが……」
「ほら、これよ、これっ」
 スタンプを見せびらかすようにみんなに見せる女上司。
「あっ、それ持ってるかもです」
「あ、それって、これじゃないですか?」
 数人の女性社員がそれを見て反応を返した。
「そ、それです!」



12 Good
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